法人向けサーバーのバックアップは必要?ツールを選ぶ時のポイントとは?

最終更新日: 2024年3月22日

現代社会において、企業の持つ様々なデジタルデータは最も重要な資産の一つとされおり、
それらのデータを守ることは、事業継続性や顧客信頼性、市場競争力を維持・向上する上でも欠かせません。。
一方で、デジタルデータは自然災害やサイバー攻撃など、予測の難しい脅威により損失してしまう可能性が常に存在します。
このような背景から、法人企業ではサーバーバックアップの実施が必須とされています。
本記事では、サーバーバックアップの重要性やデータ復旧のポイント、データを復旧するためのバックアップツールの選び方・評価基準について解説します。

サーバーバックアップの重要性

企業の保有するデータの喪失は、単純な資産の喪失だけでなく、顧客やパートナーとの信頼関係を損なってしまうなど、ビジネスに甚大な影響を及ぼす可能性があります。
また、請求書などの金銭に関するものに代表されるデータ類には適切な管理や保存が法的に義務付けられている場合も少なくありません。
このような場合において、サーバーバックアップは、企業が直面するさまざまなリスクからデジタルデータを保護するための最も基本的かつ効果的な方法の一つとされています。

データの損失リスクを最小化する

サーバーに保存されているデータが何らかの事由により失われた場合、企業活動の停滞や取引先からの信頼喪失、競争力の低下など様々なリスクに繋がります。
サーバーのバックアップを定期的に実施することで、万が一の場合でもデータの喪失を最小限に抑え、ビジネスを迅速に再開することが可能になります。

災害からの復旧に備える

自然災害や火災など、予測不能な災害から企業のデータを守るためには、”本社にあるサーバーのバックアップを離れた地区の倉庫に保管する”といったような、場所を物理的に分けたバックアップが有効です。
複数の拠点にまたがってサーバーを設置することが難しい場合は、クラウドサービスをバックアップ先として利用することでも同様の効果が期待できます。

データの保護とセキュリティ対策

多くの業界では、特定のデータを一定期間保持することが法律で義務付けられています。定期的なバックアップは、これらの義務を満たすためにも必要不可欠と言えます。
また、義務付けられていないデータに関しても定期的なバックアップを実施することで、誤操作や障害が発生した場合の迅速な業務再開に貢献することができます。

データ復旧で失敗しないためのポイント

万が一の事態が発生してしまった際、たとえバックアップを取っていたとしてもデータ復旧に失敗してしまっては意味がありません。
データ復旧に失敗しないためには、事前の準備とバックアップの計画が非常に重要です。
自社の運用にマッチした定期的なバックアップスケジュールの設定はもちろんですが、バックアップデータの定期的な確認テスト、復旧プロセスのシミュレーション実施も効果的です。
また、前述の通りバックアップデータは物理的に異なる場所に保管することで、リスクを分散させることができます。

要件に合わせた「RTO(復旧時間目標)」と「RPO(復旧ポイント目標)」

RTO(=Recovery Time Objective)とは、「データ損失が発生してから、サービスや業務を再開するまでの時間」を指します。
RTOを短くするためには、迅速にデータを復旧できるシステムや作業のマニュアル化及び訓練などの要素が求められます。

また、RTOと同時に重要な要素としてRPO(=RPO=Recovery Point Objective)というものもあり、これは「データが失われた場合に、どの時点まで遡って復旧できるか」を意味します。
RPOを短く設定するほど、より頻繁にバックアップを取ること(≒多くのリソース)が求められます。

データのバージョン管理と長期保存

データのバージョン管理とは、ファイルやデータベースの変更履歴をデータそのものと同時に保持し、特定の時点の状態に戻すことを可能とする仕組みです。
法的要件や企業ポリシーに基づき、重要データまたはすべてのデータを長期的に保存する場合もあります。
これにより、事故や障害からの復旧だけでなく、監査やコンプライアンス対応のためのデータアクセスも容易になります。

冗長性と分散バックアップの導入

冗長性とは、システムやデータの複製を複数保存することで、一部に障害や損傷が発生しても全体の管理・運用に影響が出ないようにすることです。
分散バックアップとは、データを物理的に異なる場所に保管することで、自然災害や物理的な事故のリスクを低減させる手法です。
これらを実施することで、データの安全性が高まり、リスクを更に軽減できます。
ただし、リソースやコストが嵩むため、どの程度の損傷を許容するのか?というバランスも重要となります。

復元テストの実施とデータの検証

いざという時にバックアップが取れていなかったということのないよう、バックアップが正しく機能しているかを定期的にテストし、実際にデータを復旧できることを確認する必要があります。
また、定期的なテストを実施することで、現在利用しているツールや設定が自社にマッチしているかどうかを確認することができ、前述のRTOやRPOのスコアを向上させることに繋がります。

バックアップツールの選び方

バックアップツールを選ぶ際には、自社の要件を満たしている機能のほかUIの使いやすさ拡張性などを考慮する必要があります。

例えば、クラウドベースのバックアップツールは遠隔地からのアクセスが容易で、スケーラビリティに優れています。
一方で、オンプレミスのバックアップツールは物理的な管理や厳重なセキュリティが求められる場合に適しています。

また、バックアップという”保険”のツールである以上、メーカーの信頼性やサポートの充実度も重要な選定基準となります。

信頼性 バックアップと復旧のプロセスが確実に実施できるかどうか。
パフォーマンス バックアップや復旧の速度、システムリソースへの影響など、パフォーマンスに問題ないかどうか。
セキュリティ データ暗号化機能やアクセス制御機能など、セキュリティ要件を満たしているかどうか。
コスト ツールの導入・運用コストが予算とマッチしているかどうか。また、バックアップ用サーバーの設計・構築費や保存・運用に発生する費用も含めた総コストで比較するケースもあります。
拡張性 企業の成長や社会の変化に対応できる柔軟性があるかどうか。将来的にバックアップ用のサーバー容量を増やす場合やサーバーそのものを増築する場合はもちろん、将来的にクラウドサービスへの移行を検討している場合は互換性や製品レパートリーなども含まれます。

まとめ

法人向けサーバーのバックアップは、データの保護とビジネス継続のために不可欠です。
適切なバックアップの運用計画とツールの選定により、予期せぬ事態から企業を守ることが可能となります。
バックアップツール選びにおいては、自社の要件に合った機能、使いやすさ、信頼性、パフォーマンス、セキュリティ、コスト、拡張性などを総合的に評価し、最適なソリューションを見つけましょう。

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