VMwareバックアップの基本と実践方法!データ保護のポイントを解説

最終更新日: 2025年11月6日


VMwareバックアップの基本と実践方法!データ保護のポイントを解説

VMware環境の仮想マシンは、今日の多くの企業にとって事業を支える重要な基盤です。その上で稼働する業務アプリケーションやデータを確実に保護するためには、VMware環境に最適化されたバックアップ戦略が不可欠です。本記事では、VMwareバックアップの基本から具体的な手法、そして失敗しないためのベストプラクティスまでを網羅的に解説します。

VMwareバックアップとは?

物理サーバーと異なり、仮想環境では複数のVMがホストマシン上で稼働しています。もし、ホストマシンが1台しか用意していない環境で、そのホストに障害が発生した場合、複数システムの同時停止につながるという特有のリスクがあります。

そのため、仮想化特有のアーキテクチャを理解したうえで、スナップショットやエージェントレス方式、vStorage API を活用したバックアップなど、仮想環境に最適化された手法を選定することが、物理環境以上に重要となります。

仮想環境におけるデータ保護の基本

システム障害、人為的な操作ミス、サイバー攻撃など、データ損失のリスクは常に存在します。仮想マシン上の業務データや顧客情報が失われれば、事業の継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。定期的なバックアップは、これらのリスクに対する最も基本的な防御策であり、企業の信頼性を維持するためにも不可欠です。

なぜ今、VMwareバックアップが重要なのか?

現代のビジネス環境において、VMwareバックアップの重要性は増すばかりです。その理由は大きく3つ挙げられます。
第一に、事業継続性の確保です。ハードウェアの故障、操作ミス、ソフトウェアの不具合など、システム障害の原因は多岐にわたります。バックアップがあれば、迅速にシステムを復旧し、ビジネスの停止時間を最小限に抑えることができます。
第二に、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃への対策です。近年、企業のサーバーを狙うランサムウェア攻撃が激化しており、バックアップデータまで暗号化されるケースも少なくありません。隔離された安全なバックアップは、万が一の際の最後の砦となります。
第三に、コンプライアンス要件への対応です。業界の規制やデータ保護法によって、データの長期保存や、監査時に復旧能力を証明することが求められる場合があります。適切なバックアップ運用は、これらのコンプライアンス要件を満たす上で不可欠です。

脅威の種類 具体例 バックアップの役割
ハードウェア障害 サーバー、ストレージの物理的な故障 別の健全なハードウェア上への迅速な復旧
人為的ミス VM全体のリストア、ファイル単位のリストア、インスタントリカバリなど、必要な機能が備わっているか。 VMware, Hyper-Vなど、自社環境に対応しているか。複数環境の統合管理は可能か。ファイルの誤削除、設定の誤変更。特定の時点への確実なデータリストア。
サイバー攻撃 ランサムウェアによるデータ暗号化 攻撃を受ける前の正常な状態への復旧

VMwareバックアップの主な手法

VMwareバックアップの主な手法
VMware環境のバックアップには、いくつかの代表的な手法が存在します。それぞれにメリットとデメリットがあり、自社の環境や要件に合わせて最適な方法を選択することが重要です。

手法1:各仮想マシンにエージェントを導入する

これは、物理サーバー時代から続く伝統的なアプローチです。バックアップ対象の各仮想マシンに、仮想マシンのバックアップをサポートしているサードパーティ製のバックアップ用のソフトウェア(エージェント)をインストールします。エージェントがOS内部のファイルやアプリケーションデータを読み取り、バックアップサーバーに転送します。

この手法のメリットは、ファイル単位での細かいリストアが容易であることや、物理環境と同じツールや手順で管理できる点です。一方で、各仮想マシンにエージェントを導入・管理する手間がかかるほか、バックアップ実行時に仮想マシンのCPUやメモリといったリソースを消費してしまうというデメリットがあります。

手法2:vStorage API for Data Protection (VADP) を活用する

VMwareが提供する公式のAPI(Application Programming Interface)であるVADPに対応しているバックアップソフトウェアを使用することでエージェントレスでバックアップすることが可能です。

このエージェントレスバックアップは、仮想マシンの負荷を最小限に抑えつつ、効率的にイメージバックアップを取得できる点が最大のメリットです。また、後述する変更ブロック追跡(CBT)機能と組み合わせることで、増分バックアップを高速に実行できます。

手法3:ストレージの機能を利用する

これは、VMware環境が稼働しているストレージ装置が持つスナップショットやレプリケーション機能を利用してバックアップを行う方法です。ストレージハードウェアレベルで高速にデータコピーが実行されるため、VMwareホストや仮想マシンへの負荷がほとんどありません。

ただし、この手法は特定のストレージ製品に依存するため、異なるベンダーのストレージが混在する環境では管理が複雑になりがちです。また、あくまでストレージ筐体内のデータを複製する機能であるため、ストレージ自体の障害や災害対策としては、別途遠隔地へのデータ転送を組み合わせる必要があります。

バックアップ手法 メリット デメリット
エージェント導入型 ファイル単位のリストアが容易、物理環境と統一管理が可能 仮想マシンのリソース消費、エージェント管理の手間
VADP活用型
(エージェントレス)
仮想マシンの負荷が低い、効率的なイメージバックアップ VADPに対応したバックアップソフトが必要
ストレージ機能利用型 VMware環境への負荷がほぼ無い、高速な処理 特定のストレージ製品に依存、管理が複雑化する可能性

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バックアップとスナップショットの違い

VMwareの運用において「スナップショット」は非常に便利な機能ですが、これをバックアップの代わりとして使用することは大きなリスクを伴います。両者の違いを正確に理解しておくことが重要です。

スナップショットの役割と仕組み

スナップショットは、ある特定の時点における仮想マシンの状態を保存する機能です。スナップショットを取得すると、元の仮想ディスク(VMDK)は読み取り専用となり、以降の書き込みは差分ディスク(デルタディスク)と呼ばれる新しいファイルに記録されていきます。これにより、パッチ適用や設定変更の前にスナップショットを取得しておけば、問題が発生した際に即座に変更前の状態に戻すことができます。あくまで一時的な復元ポイントとして利用されるのが主な役割です。

なぜスナップショットはバックアップの代替にならないのか

スナップショットはバックアップではありません。その理由は、スナップショットが元の仮想ディスクファイルに依存しているためです。もし元の仮想ディスクが破損・削除されてしまうと、差分情報だけでは仮想マシンを復元できず、すべてのデータを失ってしまいます。また、スナップショットを長期間保持すると、差分ファイルが肥大化してストレージ容量を圧迫したり、ディスクI/O性能が低下したりする原因にもなります。バックアップは、元のデータとは完全に独立した複製データであり、これによって初めてデータが保護されるのです。

項目 スナップショット バックアップ
目的 一時的な状態保存(パッチ適用前など) 長期的なデータ保護、災害対策
データの実体 元のディスクへの差分情報 独立した完全なデータコピー
依存関係 元のディスクファイルに依存する 元のデータから独立している
保管期間 短期間(数時間~数日) 長期間(数週間~数年)
パフォーマンス 長期保持すると性能が低下する 性能への影響は限定的

VMwareバックアップ製品を選ぶ際のポイント

VMwareバックアップ製品を選ぶ際のポイント
市場には多くのVMwareバックアップ製品が存在します。自社の環境に最適な製品を選ぶためには、いくつかの重要なポイントを比較検討する必要があります。

バックアップ対象と規模の適合性

まず、保護したい仮想マシンの数やデータ量、そして利用しているvSphereのバージョンに対応しているかを確認する必要があります。数十台規模の環境と、数千台規模の大規模環境とでは、求められるバックアップサーバーの処理能力や管理機能が大きく異なります。将来的な拡張性も見据えて、自社の規模に適した製品を選定することが重要です。

リストア(復旧)の柔軟性と速度

バックアップはリストアできて初めて意味を持ちます。仮想マシン全体を復旧する「フルリストア」だけでなく、特定のファイルやフォルダだけを迅速に取り出せる「ファイル単位リストア」が可能か、またその手順が容易かは重要な選定基準です。さらに、バックアップイメージから直接仮想マシンを起動できる「インスタントリカバリ」機能があれば、システムのダウンタイムを劇的に短縮できます。

運用管理の容易さ

日々のバックアップ運用の負荷は、できる限り低減したいものです。直感的な管理コンソールが提供されているか、バックアップジョブの作成やスケジューリングが簡単に行えるか、そしてエラー発生時の通知やレポート機能が充実しているかなどを確認しましょう。運用自動化の機能が豊富であれば、管理者の負担を大きく減らすことができます。

ランサムウェア対策機能の有無

近年の脅威動向を考えると、ランサムウェア対策は必須の要件です。バックアップデータが暗号化されるのを防ぐため、書き換え不可能なストレージ領域(イミュータブルストレージ)にバックアップを保存できる機能や、バックアップデータに異常な変更が加えられていないかを検知する機能などを備えた製品が望ましいです。

失敗しないためのVMwareバックアップ8つのベストプラクティス

失敗しないためのVMwareバックアップ8つのベストプラクティス
効果的なVMwareバックアップを実現するためには、ツールの機能だけに頼るのではなく、適切な運用ルールを確立することが不可欠です。ここでは、データ保護を成功に導くための8つのベストプラクティスを紹介します。

➀仮想化層でのバックアップを基本とする

前述の通り、各VMにエージェントを導入する方法はリソース消費が大きくなります。可能な限りVADPを活用し、ハイパーバイザーレベルでバックアップを取得するエージェントレス方式を基本とすることで、仮想環境全体への影響を最小限に抑え、効率的なデータ保護を実現できます。

➁定期的なリストアテストを実施する

バックアップが正常に取得できていると思っていても、いざという時にリストアできない、という事態は絶対に避けなければなりません。四半期に一度など、定期的にリストアテストを実施し、手順の確認とバックアップデータの健全性を検証する計画を立てましょう。これにより、復旧手順に習熟するとともに、潜在的な問題を早期に発見できます。

➂バックアップデータの保管ルール(3-2-1ルール)を徹底する

「3-2-1ルール」は、データ保護の鉄則として広く知られています。これは、「重要なデータは3つ以上のコピーを保持し、そのうち2つは異なる種類のメディアに保存し、そして1つはオフサイト(遠隔地)に保管する」というルールです。このルールに従うことで、単一障害点(Single Point of Failure)をなくし、災害時にもデータを確実に保護できます。

ルールの要素 内容 目的
3つのコピー 本番データ + 2つのバックアップコピー データ冗長性の確保
2つの異なるメディア 例: NASとクラウドストレージ メディア障害への対策
1つのオフサイト保管 例: 遠隔地のデータセンターやクラウド 災害や拠点障害への対策

➃アプリケーションとの整合性を確保する

データベースサーバーなどをバックアップする際は、データの整合性を保つことが極めて重要です。VMware Toolsの静止機能や、Microsoft VSS (Volume Shadow Copy Service) と連携できるバックアップ製品を利用して、メモリ上のデータや処理中のトランザクションをディスクに書き込んでからバックアップを取得(アプリケーション整合性バックアップ)するように設定しましょう。

➄バックアップのスケジュールを最適化する

複数の仮想マシンを同時にバックアップすると、ホストサーバーやストレージ、ネットワークに負荷が集中し、本番環境のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。バックアップジョブの開始時間を分散させるなど、リソースの競合が発生しないようにスケジュールを慎重に計画することが重要です。

➅vCenter Serverの構成もバックアップする

仮想環境の管理の中核であるvCenter Server自体のバックアップも忘れてはなりません。vCenter Serverには、クラスタ構成やリソースプール、権限設定など、環境全体に関わる重要な情報が含まれています。vCenter Server Applianceにはファイルベースのバックアップ機能が組み込まれているため、これを定期的に実行し、設定情報を保護しておきましょう。

➆変更ブロック追跡(CBT)を活用する

変更ブロック追跡(CBT: Changed Block Tracking)は、前回のバックアップ以降に変更されたデータブロックだけを特定するVMwareの機能です。VADPを利用したバックアップでは、このCBTを有効にすることで、フルバックアップを取得することなく、変更された部分だけを高速にバックアップ(増分バックアップ)できます。これにより、バックアップ時間を大幅に短縮し、ストレージ容量の消費も抑えることができます。

➇バックアップインフラのリソースを確保する

バックアップ処理自体も、CPU、メモリ、ネットワーク帯域といったリソースを消費します。バックアップサーバーのスペックが不足していると、バックアップウィンドウ(バックアップに許容される時間)内に処理が終わらない可能性があります。ベンダーが推奨するサイジングを参考に、バックアップインフラにも十分なリソースを割り当てることが、安定した運用には不可欠です。

まとめ

本記事では、VMwareバックアップの重要性から具体的な手法、製品選定のポイント、そして成功のためのベストプラクティスに至るまで、幅広く解説しました。VMware環境のバックアップは、単なるデータコピーではなく、事業継続を支えるための戦略的なIT活動です。この記事で紹介した内容を参考に、自社の環境に最適なバックアップ体制を構築してください。
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